研修医がLancet Global Healthで単著のレターを出すまで

Saeki, S. The role of early-career researchers in the future of global health research. Lancet Glob Health 2023, 11, e1010, doi:10.1016/S2214-109X(23)00252-8.

このたび、Lancet Global Health (LGH) にCorrespondenceを掲載していただきました。

憧れの雑誌に載ることができて、うれしく思っております。

いろいろと紆余曲折がありましたが、アクセプトまでの経緯を紹介してみたいと思います。

レター投稿のきっかけ

今回投稿しようと思ったのは、LGH誌に掲載されていたこちらのEditorialを拝見してからです。

Just a moment...

ある程度LetterやOpinionの執筆経験を培いつつある中、こちらのEditorialでは、様々な声を誌面に反映するために「低中所得国の若手」の募集を行う旨が記載されており、そのような取り組みに対する意見を求めるcall for papersが掲載されていました。

私自身、昨年の日本救急医学会で「キャリア早期での執筆支援」という演題で発表を行い、日本における幅広い若手からの論文執筆を促進すべきだ、という趣旨で発表を行っていました。

日本は今後人口が減少していく、その中でほかの国と競争力を保つためには、ひとりの生産性をあげることのみならず、現在研究に従事していない潜在的な層にも研究を拡大していくために、研究や論文発表のハードルを下げる必要があるだろうと論考しています。

その中で、特に若手への投資価値が高いと感じており、タイトルを”Encouraging Students and Trainees to Write”として発表していました。

この考え方は、今回のcall for papersに活用できると考え、レター投稿を決めました。

いざレターへ

先述の学会発表や論文は、自らがレターなどを投稿することが原著やSystematic reviewを書く際に役立ったと感じたことを経験していたため、その経験に基づき執筆していました。

いくつかの原著を出した後から、査読の依頼などが届くようになりました。それらをこなしていく中で、査読のプロセス自体もいただいた原稿を批判的に読みながら建設的な意見を述べることが中心であり、今までレターの執筆で行ってきた活動と本質的には変わらないことに気づきました。

そのため、査読や論文の編集などの作業も、レターなどの執筆と同様、若手研究者にとって有意義な活動であろうと考えました。

作成過程

主な論述構成としては、若手の査読編集業務が、論文執筆のみならず幅広い側面から有用であることを軸にすることを意識しました。

その中で、グローバルヘルスの領域において、どのような背景因子があり、具体的にどのような結果に寄与しうるのかを整理して論補強する方針としました。

今回はcall for papersに対する投稿であったため投稿期間は数か月単位の猶予がありましたが、締切間近になれば他の投稿に埋もれそうな気もしたため、早めに投稿しておくほうが印象には残りやすいかなと考え投稿は急ぐことにしました。

そのため、ある程度の論述内容をまとめたうえで、論の補強に用いることができる文献を探すという戦略をとりました。

投稿からアクセプトまで

先述されたEditorialが出て翌日には第一稿をまとめて投稿しました。

そこから2日経過し、投稿システムでは “with editor”の表示に。

少なくともDesk rejectは免れたのだな、とはじめは安心しました。

しかし、この状態から全く変化せず、たまにどうなっているか確認しても、常に “with editor”の表示のままでした。

「もしかしたら原稿を忘れられているかも…?」と不安になったため、2月末に一度お問い合わせを入れてみました。

そうすると「call for papersは3月末が締切なので、そこまで待つように」という趣旨のメールがEditorial officeから入りました。

そしてとりあえず待つことに…

ただ、数ヶ月経ってもどのように査読が進んだのかの返事がありませんでした。

何度か再度お問い合わせをすべきか悩みましたが、当時の臨床研修のローテ先が少し忙しかったこともあり、連絡を入れるのが後回しになっていました。

そしてついに!5月下旬に、はれて本原稿のアクセプト通知がメール経由でやってきました。

Revisionなどもなく一発アクセプトだったので嬉しいというよりもちょっとびっくりした、というのが正直な感想でした。

アクセプトから出版まで

アクセプトされてからの連絡は極めて迅速でした。

まず、手続きとしてOpen accessの取り決めについての同意認証がオンライン上であり、その次にコメント入りのゲラが送られてきました。

そこからある程度コメントに沿って従った修正を加え、原稿の最新版が送付されました。

ここでOKの返事をEditorial officeと自分が出せば終了です。

https://difff.jp/より作成

左が投稿原稿、右が最終的な公開後本文です。

少し長めの修正は編集部と相談しながら付け加えたりした内容ですが、それ以上に割と細かい修正が入っています。そこそこしっかりと修正した箇所はコメントの指摘があった箇所になります。最終原稿もかなり編集され、わかりやすくなったように思いました。

というより、Lancetっぽい英語にしてもらえているような気もして、ちょっとうれしかったです。

私の場合、アクセプト通知からオンライン公開まで1ヶ月弱というスパンでした。

一連の流れを振り返って

いろいろな先人の方々から「トップジャーナルへのレターは採択まで時間がかかる」と聞いていましたが、まさかここまでとは…というのが正直な感想です。

実際に投稿直後は少しずつ投稿システムを見ていたりしましたが、徐々に時間が経つにつれて関心が薄れていき、アクセプトメールが届いたタイミングでは原稿のことを忘れかけていた状態でした(なので、著者校正のタイミングではもう一度自分の書いたことを改めて読み込み直す、というフェーズが生じました)。

今回は自分の興味のあるテーマでCall for papersが出ていたことで、投稿へのハードルが低かったように思いました。学生の頃からLancet系へは2度ほど投稿を試みた経験がありましたが、どちらもDesk rejectの状態でした。しかし、今回はテーマに沿えばある程度は検討してもらえるのではないか、と思えたのがまず投稿するところまでつながったように思います。

今回特に意識をしたのは、自分の主張のみならず、その主張がどのようにジャーナルのScope(LGH誌の場合はグローバルヘルス)に影響を与えるのかについてしっかりと議論をすることです。今回の場合は原文には記載が乏しかった若手が編集業務に携わることの重要性を強調することで自分の色を出すことができました。

普段からレターの投稿は積極的に行うように心がけていたので、執筆の流れはその他ジャーナルと大きくは変わりませんでした。しかし、継続的にレターなどを書いていたからこそ、このようなジャーナルでもチャンスが訪れたときに逃すまいと投稿につなげることができたように思います。

また、タイムリーにそのCall for papersのEditorialを見つけることができたのも幸運でした。LGH誌はメールでアラートを受け取っており、ある程度目を通すようにしていました。そのような癖がついていたのもこのような機会を逃さないようにできた一因だったかもしれません。

情報収集と執筆訓練、インプットとアウトプットの双方がうまく噛み合ってPublishまでつながった経験でした。

臨床業務が忙しくなってタイムリーな話題を終えていない日々が続いていたので、この機に改めてちゃんと最新の情報を追えるよう心がけたいと思います…。

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