パンデミック禍での医療従事者・医学生のメンタルヘルス支援の必要性

Saeki S, Shimato M. Mental Health Support for the Current and Future Medical Professionals during Pandemics. JMA J. 2021 Jul 15;4(3):281-283. doi: 10.31662/jmaj.2021-0039. Epub 2021 Jul 9. PMID: 34414324; PMCID: PMC8355721.Equal contribution

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研究成果のポイント

  • COVID-19による医療従事者へのメンタルヘルスへの影響は流行ピーク後に訪れることを示唆。
  • 日本での医学生のパンデミック禍での実態を示し、メンタルヘルス支援の必要性を提示。

概要

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は社会の脅威となり、社会の在り方とともに医療現場も大きく変化した。医療従事者は未曾有のパンデミックに立ち向かいましたが、その精神・身体ストレスは極めて甚大なものでした。ただ、その影響はパンデミックの最中に結果として現れるのではなく、最も医療がひっ迫した直後に最も影響として現れます。イギリスのNational Health Service (NHS)では、COVID-19患者数のピークの後に、精神的な影響を理由に医療従事者が離職していました。(図1)

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COVID-19の精神的負担を受けるのは現役の医療従事者のみならず、医学生なども同様です。COVID-19に伴い実習機会の喪失や自粛を強制される負担は大きく、支援が急務です。

背景

COVID-19による過剰な負担に伴い、医療従事者の精神的な負担は極めて過剰なものとなっていました。日本では正式な統計開示が遅れたものの、パンデミックの第一波が訪れた際、イギリスでは医療従事者の精神的な影響に伴う離職がCOVID-19患者のピークの直後に増加したことが示されていました。このような状況は医療従事者の健康を害することはもちろん、持続可能な医療体制の構築を妨げる要因となりうる要因です。しかしながら、日本における議論はあまり行われてきませんでした。

本研究の成果

本稿では、イギリスにおける感染者数と医療従事者の離職数のピークにはタイムラグがあることを示しました。

また、いくつかの国内外の観察研究や症例検討を踏まえ、日本の医療従事者のみならず医学生に対してもメンタルヘルスの支援が必要であること、そしてその方法としての職場の在り方、コミュニケーションについてのエビデンスをまとめました。

本研究の意義

日本において、医療従事者のメンタルヘルスはあまり従事されてきませんでしたが、それはパンデミック後の医療体制に大きな影響がある可能性が危惧されます。また、将来その医療従事者としての役割を担う医学生らに対しても適切なサポートがなされなければ同様に医療に対しての影響が少なからず生じるであろうことを本稿は示しています。

 COVID-19の医療従事者に対する影響について調べた海外の先行研究をまとめることで、本稿では適切な職場環境づくりや適切なサポートの方法について言及しています。働きやすい、必要に応じて支援を受けられる医療現場の環境づくりが推進されることにより、日本のみならず世界の医療現場がより持続的な強固な基盤が形成されることを期待しています。

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